1. ベトナム語とは
ベトナム語は、日本や韓国と同じように中国の影響を受けている言語です。
ベトナム以外の東南アジアでは基本的にインド文化の影響を受けていますが、ベトナムは中国と隣接していること、多くの越境中国人がベトナムへ来たことから、中国語を基にした言語システムが作り上げられました。
1-1. ベトナム語は日本語と似ている?
同じように中国語から影響を受けた韓国語は、日本語と似ていることが知られています。
韓国語は日本語と文法が非常に似ていますし、単語も同じ読みで通用するものが多く存在します。
では、同じく中国語から影響を受けたベトナム語も日本語と似ているかというと…残念ながら全く似ていません。
ベトナム語を勉強していて「日本語と同じだ!」と思うのはわずかな単語の読みが同じであることくらいでしょうか。
例えば、日本語の「注意」は、ベトナム語では「chú ý」。
読み方も「ちゅうい」に近いです。
他には「同意」もベトナム語では「Đồng ý(どんい)」。
このように、中国語から影響を受けている言葉はベトナム語でも近しい単語の場合があります。
ただ、基本的には日本語とは全く違うことの方が多いです。
では、ベトナム語が具体的にどのような言語なのかを見てみましょう。
1-2. ベトナム語の「読み・書き」の難易度は?
日本語や中国語は漢字を使用しますが、ベトナム語は漢字は使用せず、アルファベットに非常に近いライティングシステムを採用しています。
もちろんベトナムも昔は漢字を使用していましたが、1900年代フランス統治下で漢字が廃止され、アルファベットと声調などをあらわす記号がついた「クオック・グー」と呼ばれる文字がベトナム語の正式な文字として採用されました。
そのため、ベトナム語の文字を読むこと自体は難しくはなく、日本語のようにひらがな・かたかな・漢字などを覚える必要がありません。
1-3. ベトナム語を「聞く・話す」難易度は?
ベトナム語が難易度が高い言語と言われる所以は、その音にあります。
日本語で話すときに声調などはほとんど意識しませんが、ベトナム語では声調が6つあります。
声調によって全く違う単語になることも少なくありません。
たとえば、
1.chờ
2.chợ
という単語は一見すると「ちょー」と読めて同じような読みに見えますが、実際に発音すると
1が「待つ」という意味で、2は「市場」という意味になります。
このくらいの違いならいいですが、中には言い間違えると大変な意味になるものも。
例えば、以前コカ・コーラ社がベトナムで出した広告が政府から公序良俗違反で罰金刑を受けたことがありました(ニュースはこちら)。
これも声調記号による違いが顕著に出てしまった例で、日本人からすると「缶」を表すベトナム語は「ロン」なのですが、ベトナム人にとっては別の意味に聞こえてしまうことも…。
また、日本人にとってもう一つ難しいのが、その母音の多さです。
日本語の母音が5つなのに対し、ベトナム語の母音はその2倍の12個。しかも、後に来る文字や組み合わさる文字によって微妙に発音が違うこともあります。
日本人からすると全て「あ」に聞こえる音も、ベトナム語では4つに分けられます。
例えば、Wikipediaから引用した「あ」の発音は以下の通りです。
a → [aː]=
口を大きくあけてやや長めに
ă → [a]=口を大きく開けて短く
â → [ə], [ɜ]=アとオの中間的な感じで短く
ơ → [əː], [ɜː]=アとオの中間的な感じでやや長めに
これを間違えるとまた違う単語になるのでしっかりと聞き分けて発音しないといけません。
「お」と読みたいのに実際の発音は「あ」だったり、「お」と読んでいるはずなのに違うと注意されたり…。
ベトナム語の声調と母音にはかなりの時間をかけた学習が必要です。
1-4. ベトナム語の文法の難易度は?
ベトナム語の文法に関しては割とシンプルで、英語や中国語の文法と似ています。
ある程度丁寧な表現などはもちろん存在しますが、日本語ほど尊敬語や謙譲語があるような複雑なものでもないので、ベトナム語を勉強するときに最も習得が早いのは文法でしょう。
日本語と比べると語順がすこし違ってくるのでややこしいときもあるかもしれませんが、声調や母音の学習にかける時間に比べると、ベトナム語の文法の学習時間は少なく済みます。
2. ベトナム語の基本表現は?
実際のベトナム語の基本表現を見てみます。
おなじみのあいさつから。
こんにちは
→Xin chào (シンチャオ)
これはみなさん聞き覚えがあると思います。「チャオ」の部分は、少し音が下がります。
日常会話では、「チャオ」だけ言うことが多いです。
げんきですか?
→Anh(Em) Khỏe không?(アン(エム) フエ ホン?)
Anhは、年上男性を呼ぶとき、Emは年下を呼ぶ時に使う表現です。「お兄さん」、「〜ちゃん」、のようなニュアンスですね。
ちなみにわたしはベトナムの語学学校でこの表現を習ってすぐにベトナム人同僚に使ってみましたが、理解されませんでした。
日本語で書くと
「アン フエ ホン?」ですが、実際の発音ではフエ、ホンのところで喉を鳴らすタイプのkの音が入るのが難しいのと、「フエ」の声調にアップダウンがあること、「ホン」の「ン」の発音が日本語の「ン」と異なるので、ベトナム人が聞くと違う音に聞こえてしまうようです。
ちなみにベトナム人指導の元発音を直すと、最後の「ン」は口の中に空気を溜めたような音になるそうなので、「ン」を終えたときの顔はフグのように膨らんだ状態に…。
わたしのなまえは〜です
→Tôi tên là 〜(トイ テン ラー)
日本語の語順と同じなのでわかりやすいですね。
これはよく使いますし、発音もそれほど難しいことがありません。
わたしは日本人です
→Tôi là người Nhật(トイ ラー グイ ニャッ)
表現自体はとても簡単ですし、文脈からも理解してくれる人が多いフレーズではありますが、個人的には「người」の発音が難しく、何度も訂正されたフレーズです。
アルファベットで読むと「ングオイ」なのですが、uo母音が日本人に馴染みのない発音です。
口の形は常に横に開いているような状態での発声になるので、「ングーイ」と言う感じの音になります。
3. ベトナム語を独学でやるときのおすすめアプリは?
日本でベトナム語を習える場所はそれほど多くなく、料金もお手頃なものが少ないので、ベトナム語を独学で勉強しようと思っている人も多いかもしれません。
ベトナム語を独学で勉強したい方におすすめなアプリを紹介します。
3-1. Duolingo
ベトナム語のみならずいろいろな外国語を学べるアプリなので既にご存知の方も多いかもしれません。
反復練習ができるので、記憶に残りやすくなります。
無料でできる範囲はあまり広くないので、最初の導入に良いと思います。
ダウンロードはこちら。
3-2. Mondly
初心者から中級まで使えるアプリです。
無料で学習できる範囲が大きく、毎日違う問題を配信してくれるのでモチベーションが続きやすいです。
ダウンロードはこちら。
3-3. HelloTalk
こちらも外国語学習のためのアプリとして有名ですね。
言語交換と言われるような、日本語を勉強したいベトナム人とマッチングすることができるアプリです。
SNSのような機能もあり、ベトナム語で投稿すると、ベトナム人が添削して直してくれるのでわたしも活用しています。
ダウンロードはこちら。
3-4. Youtube
おなじみのYoutubeは言語学習の強い味方です。
ベトナム語を学ぶためのチャンネルを探してみるとたくさん見つかるかと思います。
わたしのおすすめはべBebaさんのチャンネルです。
教科書だとどうしても硬い表現ばかりで、日常で使うと「丁寧すぎる」「普通使わない」と言われますが、Bebaさんのチャンネルでは日常で使えそうなフレーズを中心に教えてくれるので、カジュアルかつすぐに使えるベトナム語が覚えられるのが嬉しいですね。
4. ベトナム語を独学でやるときのおすすめの本は?
私がベトナム語初級の時に使用した本をピックアップしました。
4-1. ベトナム語初級レッスン
本当に初級で、初めてベトナム語をやる人にオススメです。
私が東京で行っていたベトナム語の語学学校にて使用されていました。
説明がわかりやすく、CD付きですので発音の確認もしっかりできます。
シリーズものとして次のレベルのものもあるので、ステップバイステップでベトナム語の学習を進めていくことができます。
4-2. ベトナム語会話フレーズブック
実際の生活で使えるベトナム語のフレーズが多く載っています。
ある程度ベトナム語を覚えてきて、日常会話だけでなく少しアドバンスな会話表現を知りたい人にオススメです。
もちろんCD付きなので、発音の確認もできます。
5. まとめ
ベトナム語は確かに難しい言語ですが、根気強くやっていけば必ず話せるようになります。
もしベトナム語に興味がある方は、ぜひ今回紹介した本やアプリでベトナム語の学習を始めてみてくださいね!
参照元: vitalify.jp
Japan IT Works